京都工芸繊維大学工芸科学部 生命物質科学域高分子機能工学部門 高分子物性工学研究室

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    ナノ粒子の動的解析(Ultrasonics誌)

    2022年7月19日付けでElsevier社のUltrasonics誌に投稿していた論文“Nanoparticle Sizing by Focused-Beam Dynamic Ultrasound Scattering Method” by Kana Kitao and Tomohisa Norisuyeが受理されました。

    乳濁もしくは着色した微粒子分散液を無希釈で測定したいことがよくあると思います。本研究は、超音波でこれを実現しました。しかも、ナノ粒子だけでなく、大きいミクロンサイズの凝集体にも使えます。

    これが達成されるまでに苦難も多くありました。40MHzの超音波の水中における波長は38μmもあり、典型的な可視光の波長の100倍も長いです。そのため、動的超音波法は、小さなナノ粒子の解析には明らかに不向きであると考えられていました。胎児のエコー診断や、非破壊検査など、ミリメートルやセンチメートルスケールと比べて、数マイクロメートルの乳濁した微粒子懸濁液の運動解析ができることで2008年にデビューした本手法ですが、2014年にサブミクロンに到達しました。本研究ではついに半径15nmの微粒子の個々の粒子運動をリアルタイムで捉え、かつ高精度、測定時間も15分程度に短縮しました。

    光学的手法も数多くの新技術が提案されている一方で、着色した粒子や濃度が非常に高い粒子の光学的測定は容易ではありません。カーボンブラック懸濁液、化粧品の乳液や金属スラリーを想像してみてください。そのような背景の中、本論文では新しい手法で、高速・高精度でナノ粒子を解析しました。これは(ブラウン運動する)動くナノ粒子を超音波で実測した世界初の成果となります。詳しくは論文をご覧ください。