京都工芸繊維大学工芸科学部 生命物質科学域高分子機能工学部門 高分子物性工学研究室

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    研究室の活動

    ポリマーや無機物質が集まった球状の粒子を液体に分散したものを、懸濁液もしくはスラリーと言います。微粒子は添加剤として用いられることも多く、材料の機械強度を補強したり、新たな機能性の付与が目的だったりします。これらは、医薬品粒子、燃料電池の電極スラリー、金属ペースト、塗料、化粧品、半導体粒子、機能性ポリマー粒子など、様々な分野で活用されています。

    我々の研究室では、このような微粒子分散系の機能や物性を研究しています。特に、実験で用いる装置も市販品を購入するだけでなく、世界に先駆けて装置・ソフトウェアの両方を開発しており、オリジナルな超音波テクノロジーを有している唯一無二の研究室となっています。

    学部生の皆さんにメッセージを残しておきますので、研究室選びの参考にしていただけたらと思います。

    1・2回生の皆さんへ

    理系の大学の講義は楽しいですか?なかなか難しいけど、将来必要だからどうにか習得しようと努力して、少しずつ得るものは出てきましたか?先生は一生懸命に話をして、皆さんにとって興味がそそられましたか?もし、これらの質問の答えがノーなら、我々大学の先生は皆さんに提供する授業のやり方をもう少し考え直すべきかもしれませんね(ぜひ知らせてください)。しかし、それはさておき、「皆さんにとっては」今何をすることが必要でしょうか?何をすることが得策でしょうか?

    本来は、(理系エンジニアとして活躍する)未来のために、もしくは経験値が得られる大学生活を行うために大学に来られたと思います。面白くない勉強をしろとは言いません。しかし、今後、競争化社会で生き残るために、どうしたらいいのかご自身のことを考えることは大切ですよね。

    一つコツがあるとすれば、研究室での研究は学部の講義(単位のための勉強)とはかなり異なります。日本では大学院に行かないと就職が良くないから、と思われる方も多いようですが、我々の研究室ではそれだけではありません。就職はもちろんいいです。しかしどちらかというと、世界で初めての研究に取り組み、その成果を全国で学会発表したり国際誌に英語論文を発表して世界に発信しながら、新しい研究活動を行なっています。研究室の院生たちは今の学部生活とは全く異なるスタンスで日々の活動を行なっています。このことがわかるのは学部4年生になってからなのですが、早いうちにでも研究活動に興味のある方は、遠慮なく研究室を覗きにきてください。我々教員も早い段階で皆さんの話を聞いたり、悩みを聞くべきなんだと思っています。院卒の資格を取るために大学に来るのではなく、ご自身が研究者のタマゴとして世界を股にかける新技術を探求するために大学に来るのです。

    皆さんへのメッセージは、今は「自分が楽しいと思うことを行なってください」です。やりたくないのに理系の研究室に来る必要はありません。やりたくないのに、化学や数学や物理の勉強をする必要はありません。よく「できる」研究者ほど、もっとこの技術の背景を知りたい、もっとハイテクを勉強したい、そう思うから、勉強したいから、勉強するのです。いや、「できる」というのは自分が努力を重ねるうちにおぼろげながらに少しずつ感じ取っていくものではないでしょうか。大したことではありません。そのためには、まず、自分を知ることが一番大切だと思うんです。

    でも人間、何もないところから新しい一歩を踏み出すことはとてつもなく大変です。だから、まずは周りを見渡してください。機会があれば院生や教員や研究者と知り合ってください。色々なものを見て感じて話して「コミュニケーション」してください。いっぱい面白いことがあるはずです。ゲームや趣味と同じです。楽しいと思うことをやってください(個人的には部活を思いっきりやるのも私は好きです)。将来に影響する電撃を感じたら、そこからまた未来の投資をすれば良いでしょう。それで将来給料がもらえるなら、これほど効率的で有意義な人生はないはずですから。

    3回生の皆さんへ

    皆さんは、日本の偏差値教育の中で競争に打ち勝って、希望に満ち溢れて大学に入ってきたはずです。しかしなぜか3回生ぐらいの研究室選びになると、将来をかけた充実した研究活動をどの研究室で行えばよいのか?という意欲が減っていませんでしょうか。この2、3年は相談を受けることが少なくなりました。実際に世界を見ず、一部の人に流されていませんか?いえ、一定数は真剣に考えている方もおられて実際にうちの研究室の院生の方々は非常にエネルギーに満ち溢れています。本当に素晴らしいメンバーに恵まれています。

    皆さんが、研究室は適当でもいいと思われているのであれば、それは少し付け加えることがありそうです。考えてみてください、大学を卒業するまでは授業料を払って大学に来て、その代わりに責務はありません。社会人になれば給料をもらう代わりに会社のために働かなくてはいけません。しかしこの労働は40年間続きます。では、この期間を有意義に暮らすためにはどうすればよいのか。この決断を行う日が近づいているということです。誰からに勉強しろと言われるから勉強する必要はありません。ただ、自分の将来は自分でよく考え、やがて自分も30、40代になって若いこを指導する立場になる(親になって子供を育てるかもしれない)ことを意識して日本の未来を担ってほしいです。

    さて皆さんにとって、日々の研究活動はとても重要だと私は思うのですが、研究室選びで、「楽なところはどこか」「大学に行かなくていい研究室はどこか」を選択されちゃうのはどうしてでしょうか?「ここの研究室は厳しい」とか「ここの研究室は帰る時間が遅くなる」とかが会話の中心になるのはなぜでしょうか?今楽ばっかりしたら将来が不安だと思うのが私の心理ですが、これは人によって異なるのかもしれません。みなさんは何とかなると思っておられるのでしょうか?3回生までの生活と、没頭して行う理系エンジニアの研究時間の感覚があまりに違って、もしかして皆さんはご自身の体力を心配しているのでしょうか?もしかして「夜遅くまでやらないとおこられるのではないか?」「そんなしんどい毎日はいやだ」などです。だとすると、この点は、安心してください。時間的拘束もなければ、遅くまで滞在していないと立場が悪くなるようなことは絶対にありません。当然ですが、土日祝に研究室に来るように言うことはありません。自分でやりたいことがあって(卒論や修論の)研究をしに来る人や、研究補助といって給与が出る仕事(プロジェクト)ができるので、そのような活動で研究室に来る人はいます。

    院生によって区切りの良いところはマチマチです。中には夜遅くまで滞在する学生もいますが、それはそれぞれの人の自由です。若いときに、ゲームで夜遅くなって楽しくて途中でやめられないのを経験した人も多いと思います。友達で集まったら会話が尽きず、遅くなることがあると思います。研究とは、多くの偉人が成し遂げてきたように、没頭して時間を費やして、努力して出来上がるものです。一部の作業を経験するだけなのは、本当は研究ではありません。しかし4回生の始まりだしはそんなことはまだ未経験ですから、まずは一緒にやってみるというレベルからスタートすることになります。徐々に慣れていき、やがては自然とそれぞれの個性が出てくる感じです。少しは参考になりましたでしょうか?

    研究室は、皆さんの滞在時間を強制しません。また、やれる範囲でやればいいです。一方で、みんなで士気を上げる必要もあるでしょう。それは、研究室の教員や先輩と話すことや一緒に作業するところから始まり、少し体験してみることから始まるのです。将来の自分づくりに研究室という場所が何かプラスになると嬉しいです。だから、楽チンで来なくてよい研究室と、充実した研究生活、どちらを選ぶか、少しでも多くの人に考えてもらいたいです。そして、自分の頭で考え、実際に研究室を訪問して自分の目で見て、判断してほしいです。今は、同じ大学の同じクラスの人と話をしていると思いますが、就職活動は全国の他大学の学生さんと競うことになります。研究は世界中の人と競うことになります。ここで、自分らしさを本領発揮して、ご自身にとって有意義な時間にしてほしいです。

    研究のエキスパートへの道

    最後に、皆さんご存知ですか?大学の学部4年生の後、多くの方が大学院に2年間行かれます。これを修士課程と言います。実は、さらに研究がしたい人はもう3年博士課程というのがあり、そこでさらに研究をやりこみます。今、勉強が嫌いな人にとっては、「えー、さらに3年もやるの!?」とおっしゃるかもしれません。当研究室は、本学系において、博士課程の進学希望者がもっとも多い研究室の1つです。つまり、研究室を選ばれてから、研究室配属を後悔するどころか、さらにもう3年研究活動をやってみたいと思われる方が比較的多い研究室です。研究室が辛くて有意義でないなら、修士課程の2年次で間違いなく就職を選ばれると思います。もちろんみなさんは、修士でも博士でも、自分が進みたい道を選んで、有意義な社会人生活を送ってください。どちらも良いと思います。