ラテックス凝集(抗原抗体反応)の高感度解析(Ultrasonics誌)
2021年9月13日付けでElsevier社のUltrasonics誌に投稿していた論文“Latex agglutination analysis by novel ultrasound scattering techniques” by Kana Kitao and Tomohisa Norisuyeが受理されました。
超音波は乳濁した試料や濃厚系に適している一方で、希薄系に弱いとお考えではないですか?
本論文では、平均化でもなく、周波数フィルターでもない新し方法で不要な信号(ノイズ)を除去し、高感度で反応を検出する方法を提案しました。具体的な応用例が、抗体をつけた粒子懸濁液に抗原を添加して、粒子の凝集を介して抗原抗体反応を見るラテックス凝集法です。
超音波散乱法は数十wt%までの濃厚系にアクセスできることが利点である一方、数wt%以下は逆に精度が悪くなる問題がありました。本研究では、0.625 μg/mLの希薄系で、ラテックス凝集を検出できるようになりました。1mg/mLで0.1wt%程度ですから、その1/1000以下の濃度と、超音波にしてはかなり低濃度まで解析できるようになりました。
しかしながら、高感度検出だけを追求するなら、他にも素晴らしい手法があり、例えば光散乱やQCM法では、1ng/mL感度に到達しています。超音波テクノロジーはもっと頑張らないといけないですが、新しく得られた知見から超音波ならではの活用方法を考えるのも大切ですね。