京都工芸繊維大学工芸科学部 生命物質科学域高分子機能工学部門 高分子物性工学研究室

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    両対数プロットから傾きを評価する(注意)

    両対数プロットから傾きを評価する(注意)

     「IGORで両対数プロットを作成し、直線の傾きからべき指数を評価する」この方法を当然知っている(陥りやすいミスを含めて)という人は、今回の講座は読み飛ばして欲しい。しかし、時々IGORの対数プロットとデータの取り扱いについて勘違いしている人がいるので、今回は念のために表題のべき指数の評価方法について解説する。

     まず、いかのような wave 準備しよう。対数軸で等間隔に並ぶXデータの作成方法は、第5回の講座解説した。

    make/O/D yy, xx
    xx=10^((p/127)*4-1)
    yy=xx^3.5 yy*=1+gnoise(0.1)

    ここで、yy のべき指数は3.5にセットした。また、若干のノイズを加えたが、対数グラフで同レベルのノイズが加わっているように見せるため、yy には、(1+gnoise(0.1))をかけた。

    引き続きグラフを作成しよう。グラフの作成方法はこれまでに詳しく説明してきたが、めんどうな人は、下のコマンドをコピペするとよい。

    display yy vs xx
    ModifyGraph log=1
    ModifyGraph mode=3,marker=8,opaque=1
    ModifyGraph tick=2,mirror=1,fSize=14,ZisZ=1,standoff=0,font=”Times”
    Label left “\\F’Times’\\Z14\\f02y\\f00”
    Label bottom “\\F’Times’\\Z14\\f02x\\f00”
    そうすると、以下のようなグラフが描けたはずだ。

    さて、これに直線を引いて、べき指数の値を求めてみよう。

    Analysis メニューから、Curve fitting … を選んで、パネルを呼び出し、組み込み関数の line を選んだら直線フィットだっ!こう思った人は大間違いだ。X軸のデータは、0.1 から 1000 まで並んでおり、プロット形式は log だが、データは log ではない。(log をとったデータなら値は、-1 から 3 だ)

    よって、オリジナルデータはそのままで、Duplicate(複製)コマンドを使って、以下のような logyy および logxx という名の wave を作成しよう。

    Duplicate yy logyy
    Duplicate xx logxx

    ここで今度こそ、logyy および logxxには、それぞれ yy および xx の log を代入しよう。

    logyy=log(yy)
    logxx=log(xx)

    上記と同じ手順で logyy 対 logxx グラフを作成しよう。以下のようなグラフができていればOKだ。

    今度こそ、curve fitting … を呼び出し、line 関数 でフィッティングをしてみよう。3.5 に近い傾きは得られただろうか。