超粒子集合体に対する弾性解析に関する論文が掲載されました。
12月29日付けでElsevierのUltrasonics誌に投稿していた、超粒子集合体に対する弾性解析に関する論文が掲載されることになりました。水中を伝わる縦波の超音波を使っているのに、粒子集合体の横波速度(液体中で伝わらないが、固体弾性のカナメ)と、せん断弾性を非接触で評価する新技術です!
SBもしくはSupraparticleは、「小さな粒子」が集まってできた「微粒子」、いわゆる粒子集合体です(図1a)。1個の球状粒子(図1b)と比較して、比表面積が大きいため、電気伝導性の向上、酵素や触媒の担持など、一様な微粒子と比べて大きな機能向上が期待できます。薬剤を運ぶキャリアとしても活用できそうですが、このSBが簡単に壊れてしまうようでは困ります。それでは、このSBの硬さや耐久性はどうやって把握すれば良いのでしょうか。

Fig. 1 (a) supraballもしくはsupraparticleと、(b)球状粒子の模式図
粒子の弾性率を評価する方法として、インデンテーション法や原子間力顕微鏡が知られています(図2)。粒子を見つけて、その粒子を押し込んで、どれくらい変形するのかを調べると、粒子の硬さがわかる仕組みです。しかし、1個の粒子を顕微鏡で見つける必要があり、しかも非常に脆いので多くの測定が「壊して見る」方法に限定されていました。さらに1個の粒子を測定したとして、一般的には試料の硬さには分布があり、さらには大量の粒子を一個一個見つけては測定することは非常に大変で時間がかかる操作です。それでは、数千個、数万個の粒子を一度に「短時間で」計測できて、簡単に「壊さずに」弾性率の情報を算出してくれる方法はないのでしょうか?

Fig. 2 インデンテーション測定(左)と、原子間力顕微鏡(右)の模式図
我々はこれまでも、超音波を使った独自技術を世界に先駆けて開発してきました。微粒子を含む懸濁液に、メガヘルツ周波数の超音波パルスを印加すると、粒子で散乱が生じます(図3)。

図3 超音波スペクトロスコピー法の模式図
この微弱な散乱波を解析する技術によって、わずか数秒で粒子の硬さを判定します。この方法は、従来は、粒子の大きさを判定する粒子サイジング法でしたが、我々は超音波のコントラストが硬さの違いであることに着目して、新しい硬さ解析法を開発しました。専門的には、粒子と超音波の共鳴現象を使います。もう少し具体的に説明すると、微粒子に超音波を入射すると、粒子の表面を回る「表面波」が発生しますが、ここで超音波の振動の周波数と、粒子の大きさの関係をうまく選んであげると、硬さに応じて共鳴と呼ばれる強い信号を発するので、これから懸濁液のままで乾燥して粉末にすることなく、粒子の硬さを定量的に決定できます(図4)。

図4 超音波減衰スペクトルの周波数ピークと表面波の関係
これは、もはや均一な球状粒子のみならず、Supraparticleのような高度な粒子集合体でも適用できる技術です。本研究では、超音波法と、インデンテーション法の比較に加えて、どうすれば硬いSupraparticleが得られるのか、Supraparticleの硬さは何で決まるのかについて議論しています。

