粒径が桁違いに異なるナノ粒子のブラウン運動解析の論文を発表しました。
本研究室は、超音波を使ってナノ粒子のブラウン運動をリアルタイムで追跡する技術(動的超音波散乱DSS法)を世界に先駆けて開発した研究室です。この成果は、これまでいくつかの査読制英文誌の論文で公開済みです。
ここで、ナノ粒子の計測感度を向上させるために、非常に強力な超音波を用いると、こともあろうに超音波のエネルギーで粒子に不要な流れを誘発させてしまう問題がありました。そのため、DSS法を使って、大きなサブミクロン粒子単体を簡単に計測できることはもちろん、ナノ粒子の運動情報もわかるのですが、意外な理由で、桁違いに大きさが異なる粒子の混合物は解析が困難でした。サブミクロンからミクロンの解析は、もともと光の透過性から光散乱などでも非常に困難だったのですが、超音波にも別の観点で問題があったわけです。
今回、それを克服する方法を発見しました。解決方法は簡単に言えば、試料を2枚のフィルムに挟み込み、非常に薄いサンプルを射角にして測定することです。これは、貴金属ナノ粒子や生体タンパク質など、貴重なサンプルを微量で実験する意味でも非常に有用です。
また、今回は、Japanese Journal of Applied Physics (JJAP)誌の「スポットライト論文」として取り上げていただけることになりました。私どもの論文を取り上げていただけたことは、非常に名誉なことであり、嬉しく思います。どうもありがとうございました。