ポリウレタンナノエマルションの超音波解析(JJAP誌)
2024年1月25日付けでJapanese Journal of Applied Physics (Special Issues)に投稿していた、水系ポリウレタンナノエマルションに関する英語査読論文が受理されました。
ポリウレタンは、コーティング材料によく用いられますが、環境負荷低減の観点で、有機溶媒を用いないウレタン水系ナノエマルション(WPU)の研究が盛んです。WPUポリマーのアセトン溶液から溶媒を蒸発して得た材料が高粘着のシートになるのに対して、WPUナノエマルションを作成してそれから水を蒸発して作成したシートは硬いシートになります。実際、前者のガラス転移温度は室温以下、後者は室温以上となります。全く同じ高分子をシート状にしただけなのに、どうしてこれほどまでに特性が違うのでしょうか?
超音波スペクトロスコピー法は、水中に分散する粒子の弾性が評価できる方法です。例えば、ポリスチレンのプレートがあればプレートを透過する超音波から、ポリスチレンプレートの弾性率が決定でき、水中に分散するポリスチレン粒子であれば、粒子の状態のままでポリスチレンの弾性率を決定できます。本研究では、相反転法で作成したWPUナノエマルションの弾性が、アセトン溶液の乾燥で得たWPUと違うことを粒子のレベルで明らかにしました。これには、ポリウレタンが水に馴染むために導入されたイオン基が、ナノ構造を構築することが関係しています。
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